S.Tさん
福岡工業大学
S.Tさん
工学部 生命環境化学科 長谷研究室 4年
(福岡県立戸畑高等学校出身)
加工食品の有用性を明らかにし、
食品の魅力と価値を最大化!
部活動での身体づくりの経験から
日々の「食」に興味を持ち始める
「将来は食品開発に携わりたい」。その思いが芽生えたのは、高校時代の部活動の経験がきっかけです。陸上競技をやっていたことから、毎日の食事のバランスや摂取カロリー、栄養価について日常的に気にかけていました。スーパーに行けば食品表示ラベルを見て、「脂質が多いからダメ」「糖質が少ないのでOK」など、その時のコンディションに合わせて取捨選択。日々の生活の中で身体づくりや健康に、いかに食品が大きく関わっているかをその時に実感しました。その経験が下地となり、進路選択時には、自然と食品について学べる本学を志望。3年次後期からは、加工食品の開発や評価を行う長谷研究室に所属しています。
企業と共同研究を開始
地域に新資源をもたらす一助に
現在は、2022年度より始まった企業との共同研究で、食品の製造過程で破棄される部分を微粉末化した食品パウダーの健康効果を調べています。私たちが調べているのは、シークヮーサーからジュースを搾った後の搾りかす(搾汁残渣)とサトウキビの搾りかす(バガス)の2つのパウダー。これは、本来廃棄されるものを特殊な加工技術によって付加価値を与えたものです。食品パウダーの健康効果を検証、評価できれば、そのものが持つ価値が向上。さらに有益な資源となるはずです。新たな資源によって地域が活性化する可能性もあり、未来や環境に貢献できる意義深い研究だと感じています。
どんな健康効果があるのか
食品が持つ有用性を評価する
2つの食品パウダーの注目成分は、シークヮーサー搾汁残渣に含まれるノビレチンと、サトウキビバガスに含まれる食物繊維やミネラルです。どんな栄養成分が含まれ、どういった健康効果が期待できるのか。求められるのは、将来の商品開発に生かすためのデータを集め、企業に有益な情報を提供することです。まずそれぞれのパウダーの成分を水やエタノールで抽出し、遠心分離機で上澄み液を分けます。その後、ポリフェノール量のテスト、糖質分解効果の有無を調べるテスト、酸化ストレスの原因となる次亜塩素酸をどのくらい除去できるかのテストなど、様々な試験を繰り返す毎日。それでも、狙ったデータが取れた時は嬉しいですし、着実に前進できている手応えを感じています。
念願だった食品メーカーに就職
研究で培った経験値が武器に!
今、取り組んでいる研究は走り出したばかりで、目標までは道半ば。私が卒業後は後輩にこの研究をバトンタッチします。今は、彼らがさらに有益なデータを導き出し、近い将来、人々の暮らしに役立てられる未来が来ることを心から願っています。そして、私自身は卒業後、念願だった食品メーカーに就職が決まりました。研究で培った知識や視点、経験値を武器に、新たな美味しさを発見し、お客様に寄り添った営業ができるビジネスパーソンを目指していきます。
研究室メンバーと。それぞれの研究について議論し、共に協力しながら研究を進めています。
シークヮーサー搾汁残渣とサトウキビバガスの2つのパウダー。
高校生に向けてのメッセージ

私が理系に進んだ理由は大きく2つ。将来は食品開発に携わりたいという思いと、「理系女子ってかっこいい」という純粋な憧れでした。「理系が苦手だから…」と文系に進む人も多いと思います。しかし、私の場合数学が苦手でしたが、「将来どんな仕事をしたいか」の考えのもと理系を選択しました。今は、数学に取り組む大変さ以上に、憧れの分野の勉強ができる楽しさを感じています。もし文理選択に迷ったら、どんな仕事がしたいか、一度考えてみてください。

高校生に向けてのメッセージ

私が理系に進んだ理由は大きく2つ。将来は食品開発に携わりたいという思いと、「理系女子ってかっこいい」という純粋な憧れでした。「理系が苦手だから…」と文系に進む人も多いと思います。しかし、私の場合数学が苦手でしたが、「将来どんな仕事をしたいか」の考えのもと理系を選択しました。今は、数学に取り組む大変さ以上に、憧れの分野の勉強ができる楽しさを感じています。もし文理選択に迷ったら、どんな仕事がしたいか、一度考えてみてください。

profile
長谷 靜香
工学部 生命環境化学科 准教授

2003年3月宮崎大学大学院農学研究科生物資源利用修士課程修了。2006年3月鹿児島大学大学院連合農学研究科生物資源利用科学専攻博士課程 満期退学。2008年3月博士(農学)取得。2015年4月より現職。

2003年3月宮崎大学大学院農学研究科生物資源利用修士課程修了。2006年3月鹿児島大学大学院連合農学研究科生物資源利用科学専攻博士課程 満期退学。2008年3月博士(農学)取得。2015年4月より現職。

理系女子が活躍する研究室
工学部 生命環境化学科 長谷研究室
長谷研究室(食品栄養学専門)は、そのままでは廃棄される農産物を活用した機能性食品の開発に取り組んでいます。収穫前に間引かれ、消費者に届かない未成熟の果物には、出荷されるものより健康効果のある成分を多く含むものもあり、「もったいない」と「健康」を融合した試みです。