K.Aさん
西日本工業大学
K.Aさん
工学部 総合システム工学科 機械工学系 機械設計コース4年
上條研究室
(福岡県立京都高等学校出身)
二足歩行ロボットを人のように歩かせたい!
開発のための歩行データを収集、解析
安定した二足歩行を叶えるべく
高精度のデータ集めに奔走
「思い描いた通りに機械が動くって楽しい!」。機械が順序通りに動作するように制御する「シーケンス制御」に感動を覚え、上條研究室へ。現在、二足歩行ロボットに実践的な動きを教えるための人の歩行データの撮影・解析を行っています。これも、人間がロボットを思い通りに動かすための研究です。歩行データを集めるためには、マーカーと呼ばれる印を体の側面の肩や肘、膝など6箇所につけて歩き、その様子を撮影します。この動画を解析ソフトに取り込んで、マーカーの位置を追跡し、有用性のある座標を算出。ただし、単に歩くのではなく、腕の位置、脚の運びなど、安定性のある歩行であることが必須です。なぜなら、人は筋肉や運動神経で多少歩きづらい場所でも歩くことができますが、ロボットはそうはいきません。30回以上撮影し、やっと理想のデータが取れました。
コストをかけず、力を尽くす
工夫とアイデアで勝負するやりがい
もともとこのテーマは先輩から受け継いだ研究でした。当初先輩たちはプラスチック製のカラーボールをマーカーに用いていましたが、私たちは落下防止の観点から軽量化したもの、さらには解析ソフトが精度良くマーカーを検知できるようにコントラストが強いものとして、発泡スチロール製の白いボールを採用。撮影時に着用する洋服も黒で統一しました。すると、よりスピーディに解析ソフトが検知できるように。紆余曲折ありましたが、今はその結果に手応えを感じています。現在、私たちが撮影したデータをもっと高精度に計測できる機器は世の中にはたくさんあります。しかしそのための設備投資は莫大です。コストをかけずに、みんなでアイデアと力を出し合い、今自分たちができるベストな結果を追い求めていく。企業では、限られた予算で最善の結果を求められるはずです。いつも西日本工業大学の先生たちからは「コストを抑えて、いかに良いものがつくれるかが仕事では大事」と教えられています。ここで得た学びと精神を、卒業後は最大限に発揮していきたいです。
機械工学全般を学んだことで
将来の選択肢や可能性が広かった
私が機械を学びたいと思ったきっかけは、幼少期に患った病気がきっかけでした。月に一度通院していた頃、対応してくれていたのが放射線技師の方でした。私の健康を支えてくれた方の仕事を間近に見て、いつかは医療機器に関わる仕事がしたいと、高校時代は医用工学の道を志望。しかし、せっかく学ぶなら機械工学全般の知識を身につけ、将来の可能性を広げたいとこの道を選びました。将来は、今の研究が災害支援で活躍できるような二足歩行ロボットの開発につながるなど、私が幼い頃に支えてもらったように、誰かの暮らしをサポートできる技術となれば嬉しいです。卒業後は金属加工を専門とする企業に就職する予定です。今後もエンジニアとして、研究室で培った自分たちの技術とアイデアをもって最善のものをつくり上げる気持ちをずっと持ち続けたいと思います。
シーケンス制御の実習装置で配線作業を行うK.Aさん。シーケンス制御は、冷蔵庫や洗濯機など身近な家電製品に使われている技術。写真の装置は上條研究室で製作。
歩行動画をソフトで読み込み、手足の動きを解析した実際の様子。歩く人、服装、撮影場所などの条件は変えず、マーカーの違いで精度を調べるなど対照実験も実施。
高校生に向けてのメッセージ

機械系の学問は、座学はもちろん、3Dプリンターなどデジタルツールの使い方を学んだり、溶接など実地の授業もあったりと、幅広く学べることが魅力。どの授業にも新しい学びや発見があるので、4年間飽きることはありません。知識が増えると、日常生活でのモノの見え方が変わってきます。その変化すら楽しいと思えるはずです。機械系だと女子学生は少ないのが現状ですが、勉強が楽しいと思える環境であれば、気になるのは最初のうちだけ。ぜひ一度見学に来てみてください。

高校生に向けてのメッセージ

機械系の学問は、座学はもちろん、3Dプリンターなどデジタルツールの使い方を学んだり、溶接など実地の授業もあったりと、幅広く学べることが魅力。どの授業にも新しい学びや発見があるので、4年間飽きることはありません。知識が増えると、日常生活でのモノの見え方が変わってきます。その変化すら楽しいと思えるはずです。機械系だと女子学生は少ないのが現状ですが、勉強が楽しいと思える環境であれば、気になるのは最初のうちだけ。ぜひ一度見学に来てみてください。

profile
上條 恵右
工学部 総合システム工学科 機械工学系 教授

1991年九州工業大学大学院博士後期課程設計生産工学専攻修了。博士(工学)。小松製作所(コマツ)、九州共立大学准教授を経て西日本工業大学に着任。2010年4月より現職。専門は生産加工の自動化・メカトロニクス・ロボット工学の分野。

1991年九州工業大学大学院博士後期課程設計生産工学専攻修了。博士(工学)。小松製作所(コマツ)、九州共立大学准教授を経て西日本工業大学に着任。2010年4月より現職。専門は生産加工の自動化・メカトロニクス・ロボット工学の分野。

理系女子が活躍する研究室
工学部 総合システム工学科 機械工学系 上條研究室
留学生を含む、9名の学部生が所属する上條研究室。小型二足歩行ロボットやシーケンス制御の実習教材の研究の他、金型磨き技術に関する研究も行っています。金型磨きロボットの開発では、産学官共同研究プロジェクトを立ち上げ、生産加工分野における自動化・ロボット化の実現に向けて研究しています。