関東学院大学
理工学部 表面工学コース
2023年4月新設
小岩 一郎
教授(中央)
関東学院大学 理工学部 表面工学学系 学系長
研究テーマ〇スマートフォンに代表される高密度実装技術、新規薄膜材料の開発やその薄膜の解析
研究テーマ〇スマートフォンに代表される高密度実装技術、新規薄膜材料の開発やその薄膜の解析
田代 雄彦
教授(右)
関東学院大学 理工学部 表面工学系
研究テーマ〇ファインバブルの表面工学への応用、環境配慮型めっき技術の開発
研究テーマ〇ファインバブルの表面工学への応用、環境配慮型めっき技術の開発
盧 柱亨
教授(左)
関東学院大学 理工学部 表面工学系
研究テーマ〇めっき・薄膜成長、表面処理、情報通信IoTデバイス、超電導エネルギー貯蔵デバイス、3D-CADによる有限要素解析
研究テーマ〇めっき・薄膜成長、表面処理、情報通信IoTデバイス、超電導エネルギー貯蔵デバイス、3D-CADによる有限要素解析
2023年4月、理工学部に表面工学コース新設
産業界の未来を支える技術者を育成
「表面工学」とは、金属、ガラス、プラスチックなど、材料の「表面」に加工を施し、新たな機能を加える技術です。「めっき」技術の老舗である関東学院大学は、近年、特に必要性が高まっているめっき技術を中心とした表面工学技術者を養成し、表面処理で使用される新素材の研究開発を先導するため、2023年4月、理工学部に「表面工学コース」を新設します。そこで、表面工学コースで指導する3人の先生に、コース新設の背景と教育内容について伺いました。
表面工学コースを新設した背景は?
小岩1949年設立の関東学院大学は、その母体のひとつである関東学院工業専門学校時代から「めっき」技術に定評がありました。専門学校内にあった学生用の実習工場は、自動車メーカーなどからめっきの仕事を依頼され、その数が増えていったため、のちに関東化成工業株式会社として独立しています。
本学はその後もめっき技術の研究を進め、1962年には、世界で初めてプラスチックにめっきを施す技術の工業化に成功しました。プラスチックめっきは他の金属に比べて軽量で安価なので、自動車部品などの分野では欠かせない技術となっています。このように、進化を続けてきた本学のめっき技術、表面技術を次代に継承し、産業界の未来を支える技術者を養成したいという思いが、本コース設立の背景にあります。
もうひとつの理由が、産業界が直面している表面工学の技術者不足です。1970年代に半導体分野でスパッタリング法が開発されると、めっき講座がスパッタリング講座に変わり、めっき技術を教える大学が激減しました。ところが、1997年に半導体の銅配線を電気めっきで行うダマシン法が開発・実用化されると、半導体にめっきすることが一般的になり、その次の工程の半導体パッケージなどの製造にもめっきが用いられるようになりました。ところが、めっき技術を教える大学が少なかったことから、若い技術者が育っていませんでした。また、ベテラン技術者が高齢化していることから、産業界の要請に応えて「表面工学コース」を新設し、技術者を養成することにしました。
本学はその後もめっき技術の研究を進め、1962年には、世界で初めてプラスチックにめっきを施す技術の工業化に成功しました。プラスチックめっきは他の金属に比べて軽量で安価なので、自動車部品などの分野では欠かせない技術となっています。このように、進化を続けてきた本学のめっき技術、表面技術を次代に継承し、産業界の未来を支える技術者を養成したいという思いが、本コース設立の背景にあります。
もうひとつの理由が、産業界が直面している表面工学の技術者不足です。1970年代に半導体分野でスパッタリング法が開発されると、めっき講座がスパッタリング講座に変わり、めっき技術を教える大学が激減しました。ところが、1997年に半導体の銅配線を電気めっきで行うダマシン法が開発・実用化されると、半導体にめっきすることが一般的になり、その次の工程の半導体パッケージなどの製造にもめっきが用いられるようになりました。ところが、めっき技術を教える大学が少なかったことから、若い技術者が育っていませんでした。また、ベテラン技術者が高齢化していることから、産業界の要請に応えて「表面工学コース」を新設し、技術者を養成することにしました。
表面工学の技術はどんなところに使われているのでしょうか?
盧「めっき」を中心とした表面処理技術は、自動車、スマートフォン、半導体、再生医療、ロボットなど、さまざまな分野に応用されています。
60年前にプラスチックめっき技術を開発し、世界に先駆けて工業化するための技術を確立させた本学の中村実先生は「ハイテック、めっきがなければローテック」という言葉を残しました。その後を受け継いでめっきを中心としたエレクトロニクス実装技術の発展に大きく貢献し、現在の表面処理研究の第一人者であり、本学の材料・表面工学研究所を率いる本間英夫特別栄誉教授にこの言葉が受け継がれておりますが、これは、現在でもそのまま使える言葉です。Beyond5G/6GなどのICTによる、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス、AI、自動運転など、これからの情報化社会の基盤となるハイテク機器の開発、小型化、軽量化、高性能化にはめっきの技術が必要不可欠です。
60年前にプラスチックめっき技術を開発し、世界に先駆けて工業化するための技術を確立させた本学の中村実先生は「ハイテック、めっきがなければローテック」という言葉を残しました。その後を受け継いでめっきを中心としたエレクトロニクス実装技術の発展に大きく貢献し、現在の表面処理研究の第一人者であり、本学の材料・表面工学研究所を率いる本間英夫特別栄誉教授にこの言葉が受け継がれておりますが、これは、現在でもそのまま使える言葉です。Beyond5G/6GなどのICTによる、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス、AI、自動運転など、これからの情報化社会の基盤となるハイテク機器の開発、小型化、軽量化、高性能化にはめっきの技術が必要不可欠です。
表面工学コースの教育内容の特徴は?
盧表面工学コースは、本学の材料・表面工学研究所と連携し、表面工学の技術者を専門的に育成することに特化したコースです。めっきを中心とした表面処理技術はもちろん、半導体にも応用できる薄膜工学など幅広い知識と技術を学ぶことができます。応用化学、機械工学、電気電子情報工学などの良いとこ取りをした学びが特徴です。
田代材料・表面工学研究所は、国内外の約60社の技術供与企業とともに表面処理の先端技術と新素材の研究開発を行っている研究所です。取得特許数も多く※、世界レベルの研究開発によって、学会や産業界をリードしています。学生はこの研究所の産官学連携プロジェクトに参加するなど、実践的な学びができます。研究所と産業界のつながりも深く、就職に関しても教授陣が親身に指導します。
小岩夏休みに4週間のインターンシップが経験できるのも、大きな特徴です。また、入学定員20名のうち5名に授業料の半額を奨学金として給付する計画ですので、学生たちには頑張ってもらいたいと思います。
田代技術を教えると同時に、品質管理、技術者倫理、問題解決力などもきちんとカリキュラムに入れて、社会人としての「人間力」を養うことにも力を入れています。キャリアデザインのつくり方や特許についても教えています。
盧エンジニアに特許の知識は必須です。何のために特許をとるのかを理解し、研究成果を社会に生かす道を考えるべきです。
田代特許について知り、特許が取れる研究をめざしてほしいですね。
※文部科学省から発表された「令和2年度実績 大学等における産学連携等実施状況について」における「特許権実施等件数」の項目で、関東学院大学は国公立を含む全国の大学で第6位、私立大学では第1位を記録。「材料・表面工学研究所」の研究成果がこの実績を支えています。