神奈川大学
化学生命学部
2023年4月新設
S.I
さん
神奈川大学 工学部 物質生命化学科3年
岡本 専太郎
教授
神奈川大学 化学生命学部 生命機能学科
有機反応デザイン研究室
有機反応デザイン研究室
「考える力」が身につき、
卒業後の選択肢が豊富な化学系の学び
界面活性剤フリーの化粧品や機能性食品などの研究開発に実績を挙げている神奈川大学。2023年4月には、横浜キャンパスに「化学」と「生物学」に関わるテーマをトコトン学べる化学生命学部が新設されます。では同学部ではどんな学びがあり、在学中にどんな力を身につけることができるのでしょうか。同学部で応用化学の教育・研究を行う岡本専太郎教授と教え子のS.Iさんが、化学系の学びについて語り合いました。
お二人が理系学部を目指したきっかけを教えてください。
S.I中学時代の担任の先生が実験好きで授業のたびに実験があり、特に化学実験の面白さに惹かれました。ただ、英語と化学は得意でしたが、数学が苦手で…。そこから受験勉強を頑張り、英語・数学・化学の3科目で受験して合格することができました。
岡本私も大学4年の卒業研究で実験にハマり、研究の道に進みました。実験で実際に目の前に現れる現象には、教科書にない面白さがあります。私の研究室でも研究内容がある程度理解できるようになると、学生自身が次の実験を企画したり、創意工夫を重ねるようになります。すると思いもかけない結果が出ることがあり、周囲から誉められて、ますます実験が好きになる。その繰り返しです。
S.I私は入学後に化学の4分野(有機化学、無機化学、生物系化学、物理系化学)を学び、それぞれがつながっていることに気づき、面白さを感じました。入学前は「化学系」と決めてはいたものの具体的に何を学びたいのかわかりませんでしたが、大学で学ぶうちに自分が進みたい方向が徐々に見えてきました。仲間にも同じような人が多いと感じます。
岡本先生の有機反応デザイン研究室を選んだ理由を教えてください。
S.I1年次の少人数セミナー「First Year Seminar(FYS)」で岡本先生の担当クラスになりました。コロナ禍で全く登校できず、友人もできない頃で、少しでも学ぶ意欲を保ちたいと、先生にこまめにメールを送りました。すると、すぐにお返事をいただけて、時には「体調はどうですか?」と私を気づかう文面もあり、「真摯に対応してくださる先生だ!」と思いました。また、先生の研究テーマが有機医薬・有機材料・高分子など、とても幅広く、選択肢が多いことも魅力でした。
岡本私自身、興味の範囲が広いので、自然に研究テーマが広がりました。研究には基礎研究と応用研究があるのですが、私の研究室の基礎研究では分子をつくる道具を独自に開発・応用しています。私たち大学の研究者は企業の研究室と同じ土俵で勝負しなくてはならず、そのためにはアイデアと独自性が必要です。分子をつくる道具は分子設計の方法論と言い換えることができるのですが、ここは企業がなかなか思いつかない分野です。応用研究ではビタミンD、植物ホルモン、新しい有機電子材料などを研究対象とし、医薬品や電子材料などに役立てることを目指しています。
S.I私はまだ3年生なので研究テーマは決まっておらず、英語の論文を読み込んで発表したり、実験ノートの読み方書き方を学んでいるところです。個人的には天然化合物や医薬品の合成に興味があります。
S.Iさんは将来、どのような分野に進みたいですか?
S.I有機医薬系に興味があるので、製薬会社で化学合成研究や、作製した合成物を活用する技術を研究したいです。もちろん、大学院進学も視野に入れています。
岡本実験結果をどのように解釈し、まとめるのか。そこからどのように次の展望を見いだすのか。研究室に在籍している間にその思考方法を身につけてほしいですね。これはビジネススキルにも通じる内容なので、将来どんな業界に進んでも役に立つんですよ。
S.Iこれからも授業や研究を通じて、自分の中に「考える力」を養っていきたいです。
岡本神奈川大学の理工系学部の卒業生は医薬品メーカーや化学メーカー、ヘルスケア系企業などで活躍しています。BtoBの化学メーカーには面白い技術を持つ優良企業が多いんですよ。ただ、TV広告がほとんどなく、一般市場に出回るような最終製品も少ないため、あまり知られていないのです。神奈川大学には毎年求人を出してくださる優良企業が少なくありませんし、採用担当者が頻繁に大学に顔を出され、合同会社説明会も開催されています。学生と企業の交流会もありますので、いい就活スタートを切れるのではないでしょうか。就職課では、各学科の担当職員が決まっていて、学生一人ひとりを丁寧にフォローしていますよ。
S.I化学系は社会で活かせる分野がとても広いので、私も研究を進めながら将来の進路を考えたいと思います。