神奈川工科大学
大学院 工学研究科 電気電子工学専攻
コミュニケーションロボティクス研究室
Communication robotics Lab. Department of Electrical and Electronic Engineering,
Graduate School of Engineering, Kanagawa Institute of Technology

メガネ型端末と地図アプリの連動で
歩きスマホ防止の画期的アイデアを実現

いまや私達の生活に欠かせない存在となったスマートフォン(以下スマホ)ですが、一方でスマホによる新たな社会課題も生まれています。その代表的な例のひとつが「歩きスマホ」の問題。いまや地図アプリを使えば知らない場所でも不安なく辿り着けますが、その時には地図アプリを開き、現在地やルートが合っているかを見ながら歩くこととなり、どうしても「歩きスマホ」の状態となってしまいます。

そんな課題の解決をめざしたのが、神奈川工科大学の現役大学院生である、I.Tさんの研究「Fun’iki Navi(雰囲気ナビ)」です。アンドロイド端末とメガネ型情報端末「雰囲気メガネ」をBluetooth通信で連動したこのツールを使えば、スマホ画面を確認することなく目的地まで正確に辿り着けるという優れモノ。学部生時代に開発したこの研究で、I.Tさんは国内外の数多くの学術会議に参加。2020年1月には、家電製品をはじめとするコンシューマエレクトロニクス分野のトッププロが集まる『IEEE ICCE 2020』で最優秀ポスターアンドビデオ賞を受賞するなど学生ながら大きな成果を実現しています。

メガネ型端末で下を向く時間を1/35に圧縮

アンドロイド端末に搭載されているGPSセンサからユーザーの位置を確認する。ここまでは通常の地図アプリと同じですが「Fun’iki Navi」はその情報を、メガネ型情報端末である「雰囲気メガネ」と連動し、雰囲気メガネのLEDの光の色と音によって、目的地までのユーザーをナビゲートするツールです。次に右折/左折する場所まで30m、20m、10mとなったタイミング、正しいルートから外れた時、目的地に到着した時にメガネ型情報端末が5色のLEDの光と音で、ユーザーを案内する仕組み。2つの端末はBluetoothで通信していて、スマホはカバンやポケットの中にいれたままで大丈夫。身に付けたメガネ型情報端末からの情報によってルート案内が行われるので、スマホの画面を確認することなく目的地に辿り着けます。

研究をスタートしたのは学部4年の頃から。アンドロイド端末とメガネ型端末の連携やシステム構築は比較的スムーズに進みましたが、難しかったのはどのタイミングでどのようにユーザーに情報を伝えるか。最終的には5色の光を使い分ける形となったのですが、あまりたくさんの色を使い過ぎるとユーザーが色の示す意味を覚えきれません。またユーザーが不快に感じないように、わかりやすく色と音を使うことにも気を配りました。注意を促すには何色が適しているのか、安心してもらうには何色がいいのかなど、色が人間の心理に与える影響については、心理学からヒントを得るなど、工学に限らない幅広い分野から学び、研究へと反映しました。

実証実験は50人ほどの被験者を集め、スマホで『Google Map』を見ながら移動した場合と比較。「道案内時間」「下を向いた時間」「ルート逸脱回数」とともに、ユーザーの主観による「通知の分かりやすさ」「危険を感じたか」「安全性」「通知のさり気なさ」「利用意向度(実際に使ってみたいか)」の5項目をアンケート調査しました。道案内時間やルート逸脱回数では『Google Map』が8%上回ったものの、下を向いた時間は1/35まで縮小することに成功。アンケート調査ではすべて「Fun’iki Navi」が上回る結果を導くことができました。

研究を支えてくれた先進的かつ自由な大学の環境

「Fun’iki Navi」も元々は趣味のロードバイクから浮かんだアイデアだったのですが、ふっと思い浮かんだアイデアを形にできること、社会の課題に自分ならではの観点で切り込めることが、理工系ならではの魅力じゃないでしょうか。「KAIT工房」など学生が自由に最新の設備を使ってものづくりができる環境、「HEMS認証支援センター」など最先端の研究環境が整っている神奈川工科大学だからこそ、私自身も想いのままに研究に熱中できました。

また大学時代は、社会進出後に企業などで研究するより比較的自由なアイデアで思い切った研究ができる貴重な時間です。日々の授業で培える論理的に物事を考える力を土台として、ワクワクできることを見つけることが、自身の成長につながっていくと思います。

高校生に向けてのメッセージ Message
やりたいことが見つかっていないなら、未経験のことにどんどん挑戦してみましょう。先入観や苦手意識などにこだわらず色々な分野に触れる中で、自分では意外に思える分野にハマることも。ただ学ぶだけではなくて、その知識で何かをアウトプットしようという気持ちも大切だと思います。
Profile
大学院 工学研究科 電気電子工学専攻2年
I.Tさん
神奈川県立高浜高等学校出身。幼少期からものづくりに興味を持ち、理工系の道へ。充実した研究施設に惹かれ神奈川工科大学に入学。デモンストレーションを活用した学会発表など、高いプレゼンテーション力も評価獲得につながっている。
神奈川県立高浜高等学校出身。幼少期からものづくりに興味を持ち、理工系の道へ。充実した研究施設に惹かれ神奈川工科大学に入学。デモンストレーションを活用した学会発表など、高いプレゼンテーション力も評価獲得につながっている。

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