福岡工業大学 学長下村 輝夫

1971年九州工業大学 工学研究科 電気工学専攻 修士課程修了(電気工学専攻)。
1979年工学博士号取得(東京工業大学)。
2003年10月から2010年3月まで九州工業大学の学長に就任。
九州工業大学の著しいブランド向上に指導的役割を果す。
同年10月からは現職である福岡工業大学・同短期大学部学長に就任。
研究に関しては、画像工学分野を中心に学術論文82編、著書3編(分担執筆)を発表。

新時代の大学の構築に向けて
さらなる改革に邁進

飛躍的に伸びた志願者や就職率今後は研究力の発信に注力

福岡工業大学は“For all the students”をスローガンに掲げ、全教職員が一体となって教育・研究の質向上、就職率向上など、すべての学生に資する改革に取り組んできました。教職員の努力は確実に実を結び、18歳人口が減少するなか、大学志願者数は今年度まで14年連続で増加しています。

卒業後の就職についても、「就職は教育の一環である」という共通認識の下、学内に企業を招聘、キャンパスにいながらにして意中の企業を発見できる「学内合同企業説明会」をはじめとする手厚い就職支援を実施。2020年3月卒業生の就職率は99.9%です。実就職率(就職者÷(卒業者数-進学者数)の比率)も97.1%と全国の大学屈指の実績を挙げており、今や「就職の福工大」という異名を取るほどになっています。

高校や保護者の皆さんに対して「教育の質の保証」を最も明確に形として示せるのが就職実績だと私は考えます。そのために、教員には専門知識の習得はもちろんのこと、プラスアルファとなる教養力や人間力を身につけさせるよう努力してほしいと伝えています。コロナ禍で先行きがさらに不透明となった混沌の時代、予測不可能な未経験の場に遭遇しても、自信を持って行動できる力がこれからはますます必要とされるからです。

志願者数や就職実績で高校や企業から高い評価を得られるようになった今、これからは大学のもう一つの武器である「高度な研究力」を発信していくことに力を入れたいと思っています。8月には大分大と情報工学(人工知能)と最先端医療とを融合させるための包括連携・協力協定を締結したほか、高い研究力を社会に還元することを目的とした「総合研究機構」を設置しました。地元企業をはじめ、先端研究機関とも積極的に産学共同研究を推し進めており、科研費の新規採択率や教員一人当たりの論文数は全国の大学でもトップクラスを誇っています。このような本学の高い研究のポテンシャルを、外部に認知していただくことがこれからは重要だと考えています。

ウィズコロナの時代における授業のあり方を検討

今年度は、新型コロナウイルスの影響で、本学でも前期はオンラインでの遠隔授業を余儀なくされました。コロナ禍の先が見通せない現在、遠隔授業のメリットを生かしながら、対面授業と組み合わせた新しい授業スタイルを構築していく必要があります。

福岡工業大学 下村輝夫

遠隔授業については、①基盤づくり、②補完的取り組み、③授業そのものの改善の3点がポイントになると思っています。遠隔授業の基盤づくりに関しては、しっかりとしたガイドラインを作成し、全教員に周知させるとともに、対面授業とのハイブリッド型の学習支援に向けたプラットフォームづくりに取り組むことが重要です。大学4年間の間に一般教養と専門知識・技術、それに社会人としての人間性を着実に習得させるという「教育の質の保証」に向けて、迅速に体制を整備していきたいと思っています。

遠隔授業の補完的取り組みとしては、授業が円滑に進められるように教員や受講生をサポートする「クラス・サポーター」というシステムを活用しました。コロナ禍で大学への通学が思うに任せなくなり、孤独感を感じている学生(特に新入生)に対して、オンラインでさまざまな相談に乗り、アドバイスをするというものです。また、学習が遅れている学生に対しては、担任教員・学生課・教務課が三位一体となって、個別に電話をするなど的確なフォローを行っています。

そして、授業の改善ですが、アンケートの結果で浮かび上がった課題の中から取捨選択し、教育の質の保証に資する改革を進めています。例えば、大教室で行ってきた一般教養は人数を分けて数回実施せざるを得なくなったわけですが、受講生すべての共通理解をどう図っていくか、教養科目では現代社会で最も重要かつ必要とされるコミュニケーション能力をどう磨いていくかといったことです。

コロナ禍で今、「大学とは何か」ということが改めて問われています。私は、大学は夢を育て、物事の本質を究める場所であると同時に、ヒューマンネットワークを築く場でもあると思っています。ウィズコロナのなかで、大学でもどうやって人と人とのコミュニケーションを図っていくか、もう一度真剣に考えなければならない時期にあると言えるでしょう。

コロナ禍のなかで、大学教育も大きく変わっていくと思われます。本学も、これまでの高い評価に甘んじることなく、さらなる改革に邁進してまいります。

福岡工業大学 学長 下村 輝夫

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