福岡工業大学 学長下村 輝夫

1971年九州工業大学 工学研究科 電気工学専攻 修士課程修了(電気工学専攻)。
1979年工学博士号取得(東京工業大学)。
2003年10月から2010年3月まで九州工業大学の学長に就任。
九州工業大学の著しいブランド向上に指導的役割を果す。
同年10月からは現職である福岡工業大学・同短期大学部学長に就任。
研究に関しては、画像工学分野を中心に学術論文82編、著書3編(分担執筆)を発表。

「鍛えて伸ばす」をスローガンに
さらなる教育の質向上をめざす

積み上げた実績が信頼関係を構築

――コロナ禍は教育・研究にも支障を来すことが少なくないと思いますが、大学としてどのように対応をされていますか。

現在は対面授業が9割程度に復活し、教員はオンラインにも対面にも柔軟に対応できるようになりました。そうしたなかで、私どもが最も心を砕いたのが2年生へのケアです。彼らは昨年、入学時からオンラインで授業を受けることになったわけですが、授業についてこられる学生とこられない学生とで、学力が二極化するという問題が生じました。

本学には「FIT-in サポート」という新入生を支援するシステムを昨年度からスタートさせました。学部の3、4年生や大学院生がチューターとなって、教員と新入生の仲立ち役となりサポートするものです。授業内容や課題はもちろん、進路やコロナ禍での学生生活など、さまざまな相談に乗るので、年齢の近い先輩なら相談しやすいと好評です。成績不振の学生、課題未提出の学生、コロナ禍で精神的に不安定となり、授業に身が入らない学生などに対するラーニングサポートにも力を入れ、昨年度は年間8回実施し、のべ3000人が受講しました。

今年度の1年生は、入学当初からこうした恩恵を受けることができますが、2年生に対しても可能な限りサポートを行うことで、ドロップアウトを防ぐために尽力しています。

――入口である入試と、出口となる就職についてはいかがですか。

入試については、以前から入試課を中心とした職員が頻繁に高校訪問を行い、本学の教育内容や就職実績などをきめ細かく伝えているため、「福工大なら安心して生徒を送り出せる」と強い信頼を頂いています。

就職についても、東京と大阪に就職関連の事務所を置いているのをはじめ、企業交流会や学内合同企業説明会を積極的に開催し、毎年800~900社に参加頂いています。今では上場企業にも数多くOB・OGが勤務しており、コロナ禍の昨年度は99.7%という就職率を達成しました。これも企業の皆さんに本学の教育を評価し、学生に期待して頂いているからこそだと思っています。

このように、コロナ禍という非常事態にあっても、高校や企業の皆さんと共に築き上げてきた強固な信頼関係によって、入試も就職も、着実に実績を積み上げることができていると思っています。

これまで以上に問われる「教育の質」

――今、高校現場や受験生、保護者の期待に応えるには何をすべきだと思われますか。

何より大学の特徴を明確にすることです。本学で言えば、これまで培ってきた実績に基づく「丁寧な教育」と「高い就職率」がそれに当たります。この2つに加えて、今後は、「鍛えて伸ばす」ということもスローガンに加えていきたいです。本学では、数学や物理、化学といった工学のどの分野でも不可欠な理系科目をまず基礎として徹底的に学ぶほか、機械工学なら材料・流体・熱・機械の4力学の知識や設計図の読み方を完璧に身につけます。これらは、今トレンドとなっているデータサイエンスなどの最新分野に進んでも、必ず必要となる基本中の基本だからです。

基礎を徹底的に鍛え、それを社会で活かせる力が確実に身につく本学の教育が、高校や企業からも高く評価されるようになってきました。

福岡工業大学 下村輝夫

――アフターコロナの時代になると、社会構造はこれまでと大きく変わると思われます。これからの方向性をどのように考えられていますか。

コロナ禍で家庭の経済事情も疲弊している今、改めて大学に進学する意味が問われていると思います。これからは、その大学に進学したことでどれだけの成果が得られるか、受験生はもちろん、保護者も高校の先生もよりシビアな目で見てくるでしょう。入学するに値する大学として評価されるには、これまで以上に「教育の質」を上げていく必要があります。

講義内容を広く公開し、質の高さをアピールしていくことも、選ばれる大学になるためには不可欠な要素になります。そこで問われるのが「講義の質の高さ」です。数学や物理なら、どのような考えでこのような解法に至るのか、専門科目でも得た知識が社会のどんな分野に反映され、役立っているかといったことを明確に示し、解説していかなければなりません。教員の力量もより問われるようになるでしょう。

その意味でも、今以上に本学に進めば必ず「鍛えて伸ばしてくれる」と評価されるよう、教職員一体となって邁進していかなければならないと気を引き締めています。

●本記事の内容は2021年取材当時のものです。

福岡工業大学 学長 下村 輝夫

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